豊富な人脈
[はり・きゅう師を志した動機]
昭和48年、鍼灸学校最終学年の折、
当時東洋はり医学会の会長だった福島先生の
施術所を見学させていただきました。
8台のベットが全部患者で埋まっており、
毎日100人前後の患者を施術されていました。
福島先生は全盲で、しかもかなり耳が遠く、
そういうハンディを抱えながらも
施術所内で奮闘されている姿に感動しました。
幸運にも学年代表として、
私が福島先生の鍼灸施術を直接受けることができ、
鍼の手さばきに感銘したとともに、
患者を引きつける話術には
大いに惹かれるものがあったのです。
このことを通じ、「私が一生を捧げる道はこれだ」と決め、
現在まで頑張ってきました。
福島先生は、己の欲に溺れず
常に鍼灸業界のために貢献されていました。
このことも私自身引き継ぎたいと思っておりますし、
そのように心がけております。
私は、患者様の疑問に少しでも答えられればと考えています。
疑問を抱きながらも聞き難い事もあると思います。
それは「眼の不自由な先生に施術を受けていて
大丈夫なのだろうか?」という事です。
不快な印象を与えないよう努力しておりますし、
お気づきの点がありましたら遠慮無くご指摘ください。
長期間当院をご利用いただいている患者様は
既にご理解の事と思いますが、
避けて通れない問題ですので私なりの考えをまとめてみます。
宗教関係者が険しい山野に篭ったり、
厳しい寒さの中を滝に打たれる等で
心身を鍛える事を「禊ぎ」と言います。
身体障害者が、そのハンディを克服して
生活や仕事をするという事は
この「禊ぎ」と類似した行為で、
健常者には考えられないような感性が磨き上げられます。
もちろん、それを支えていただいているのは
政治・行政やたくさんのボランティア関係者等のご厚情であり、
心から感謝申し上げると共に
その期待に応えられるよう頑張りたいと思います。