前十字靭帯(ACL)損傷は、膝関節の主要な靭帯の1つである前十字靭帯が部分的または完全に断裂する怪我です。これは、特にスポーツ活動中に多く見られ、膝を捻ったり、急に止まったり、方向転換したりする動作が原因となります。
主な原因
急な方向転換:特にスポーツで方向を変える動作中に起こりやすい。
ジャンプ後の着地:正しい体勢で着地できない場合。
接触プレー:サッカーやラグビーでの接触が原因。
膝の過度な伸展や捻り。
症状
膝の「ポップ音」:損傷時に音を感じることが多い。
激しい痛み:特に膝の中央部分。
腫れ:怪我後数時間で膝が腫れることがある。
不安定感:膝が「抜ける」ような感覚。
可動域の制限:膝を完全に曲げたり伸ばしたりできなくなる。
診断
身体診察:ラックマンテストや前方引き出しテストなど。
MRI:軟部組織(靭帯や半月板)を見るのに有効。
X線:骨の損傷がないか確認。
治療方法
1. 保存療法(軽度の場合)
安静、アイシング、圧迫、挙上(RICE療法)。
補助具(膝装具)やリハビリテーション。
2. 手術(完全断裂や高活動者の場合)
前十字靭帯再建術:損傷した靭帯を取り除き、自分の腱(ハムストリングや膝蓋腱など)や人工素材で新しい靭帯を作る。
リハビリと回復
手術後は数カ月間のリハビリが必要。
筋力の回復、関節の可動域の改善、スポーツ復帰の準備を目的とする。
フルスポーツ復帰まで6~12カ月かかる場合が多い。
予防
正しいトレーニングとストレッチ。
筋力強化(特にハムストリングスと大腿四頭筋)。
バランストレーニングやジャンプの着地練習。
適切なシューズの使用。
