**腱板損傷(けんばんそんしょう)とは、肩関節を安定させ、動かす役割を持つ腱板(ローテーターカフ)**という筋腱群が損傷を受けた状態を指します。腱板は肩甲骨と上腕骨をつなぎ、肩の運動や安定性に重要な役割を果たしています。
腱板の構成
腱板は、以下の4つの筋肉の腱から構成されています。
棘上筋(きょくじょうきん)
棘下筋(きょっかきん)
小円筋(しょうえんきん)
肩甲下筋(けんこうかきん)
これらが肩関節を包み込み、スムーズな動作をサポートします。
主な原因
腱板損傷の原因は、以下の2つに大きく分けられます。
1. 加齢や退行性変化
自然な摩耗: 年齢とともに腱板が劣化し、損傷しやすくなります。
40歳以上で特に多く、特に棘上筋が損傷しやすいです。
2. 外傷性損傷
肩を強打したり、転倒時に腕をついたりすることで腱板が切れることがあります。
激しいスポーツや仕事で肩を酷使する場合にもリスクが高まります。
症状
肩の痛み: 特に肩を動かすときに痛む。夜間痛が出ることも多い。
動作の制限: 腕を上げたり後ろに回す動きが困難になる。
力が入らない: 腕に力が入らず、物を持つのが難しいことがある。
音がする: 肩を動かしたときにクリック音やグリグリという音が聞こえることも。
診断
問診と触診: 症状や痛みの場所を確認。
画像診断: X線、超音波検査、MRIで腱板の損傷範囲や程度を評価。
治療法
腱板損傷の治療は、症状の程度や生活への影響に応じて以下の方法を選択します。
保存療法
薬物療法: 痛みを抑えるための消炎鎮痛剤や湿布。
リハビリテーション: 肩周りの筋肉を強化し、可動域を回復。
温熱療法: 血流を改善して回復を促進。
注射療法: 炎症を抑えるためにステロイド注射を行うことがあります。
手術療法
関節鏡手術: 腱板の縫合や修復を行う最小侵襲の手術。
開放手術: 重度の損傷や大きな断裂がある場合に適用されることがあります。
予防
適度な運動で肩周りの筋肉を鍛える。
長時間の反復動作を避け、肩に過度な負担をかけない。
肩のストレッチやウォームアップを行い、柔軟性を保つ。
腱板損傷は早期の診断と治療が重要です。肩に違和感や痛みがある場合は、整形外科を受診して適切なケアを受けることをおすすめします。
