アルル洋菓子店

昔からいつも閑古鳥で、お客なんか全く見た事が無いのに、何故だか、何十年も営業を続けている、とても不思議な洋菓子店「アルル」。
しかも、目と鼻の先には、行列の出来るこの地域では有名な、和洋菓子店「石田屋」があり、それがまたこの店の寂れ具合を際立たせているのです。

そのお店で、予てからすごく気になっていたロールケーキを遂に買ってきました。

このロール、どう見ても、プロの作品（？）とは思えない見てくれ。
当節流行の生クリームどっさりでおしゃれなロールなどではない、べったりのジャムロール。
ジャムはイチゴ。
丸々一本ラッピングされていて、しかもジャムがはみ出している。
昔の家庭で作ったような出来栄え。

そんな風情だからなおさら気になっていて、買おうと意を決すると、いつもないのです。（誰が買ってるんだか）
売れてしまったんだか、作らなかったんだかで、中々手に入らなかったのが、昨日一個だけ残っているのを見つけて、買ってきたのです。

早速ナイフを入れる。
ラップの上から直接切れます。
そして、一口。

ムム・・美味しい！
スポンジがフワフワしすぎず（巷のロールはフワフワしすぎ）パサつく手前の、硬派な柔らかさ。
卵の香り。
ダサいと思ったイチゴジャムとのコラボもバッチリ。
少々甘いが、嫌味な甘さではない。

これって、癖になるかも・・・などと思いながら、ダイエット中にもかかわらず、二切れも。

音楽や絵ではよく「ヘタウマ」という表現を使う事があります、その言葉をそっくりそのままこのロールケーキに進呈したいと思います。
一見家庭の母が作ったみたいですが、食すれば、上級者の味。
隠し味に懐かしさも。

うん、そう、まさにこれぞ、ヘタウマケーキなのでした。