日常生活の中で、買い物袋や荷物、家具の移動など「重いものを持ち上げる場面」は意外と多くあります。ですが、このときの動作が正しくないと腰や肩、ひざに大きな負担をかけてしまい、思わぬ痛みやケガにつながることがあります。
まず大切なのは「姿勢」です。多くの人がやってしまいがちなのは、腰を丸めて前かがみになり、そのまま腕の力だけで持ち上げる方法です。これは腰に負担が集中しやすく、ぎっくり腰などのリスクを高めます。正しい方法は、できるだけ背中をまっすぐに保ち、腰ではなくひざを曲げて体を下ろすことです。しゃがむ動作を使って荷物に近づき、足の力で立ち上がるようにすると、腰への負担を大きく減らせます。
次に「荷物の位置」も重要です。持ち上げる前に、荷物を自分の体に近づけてから動作を始めましょう。腕を伸ばしたまま遠くのものを持ち上げると、てこの原理で腰への負担が大きくなってしまいます。体にしっかり引き寄せてから立ち上がりましょう。
また「ひねり動作」にも注意が必要です。荷物を持ったまま腰をひねると、腰の筋肉や関節に過剰な負担がかかります。方向を変えるときは、腰だけでなく足ごと体全体を動かすように意識しましょう。
さらに「持ち上げる前の準備」も大切です。いきなり力を込めるのではなく、まずは深呼吸をして体に余計な力みを残さないようにしましょう。そして「これは自分一人で持てる重さかどうか」を判断することも重要です。無理をせず、必要であれば誰かに手伝ってもらう、台車を使うなど工夫することも安全につながります。
最後に「持ち方」について。片手で持つよりも、両手で体の真ん中に近い位置で支える方が安定します。背筋を伸ばし、視線を前に保ちながら運ぶと、体のバランスも取りやすくなります。
重いものを持つ動作は、ちょっとした意識の違いで体への負担が大きく変わります。正しい姿勢と工夫を習慣にすることで、日常の中で腰やひざを守りながら安心して動けるようになります。