「立っているだけで足が重だるい」「少しの時間で腰や肩が張ってくる」──そんな経験はありませんか?実はその原因のひとつが「立ち姿の重心」にあります。重心がわずかに前や後ろにずれるだけで、体は余計な力を使い続けることになり、結果として疲れやすさにつながってしまうのです。
本来、人の体は「耳・肩・骨盤・膝・くるぶし」が横から見て一直線にそろっていると、筋肉や関節に無理のない姿勢になります。しかし、スマホを長時間見て首が前に出ていたり、デスクワークで骨盤が後ろに傾いていたりすると、このバランスが崩れます。重心がずれると、足の裏や腰の一部に体重が集中し、体はその偏りを支えるために余計な力を働かせることになります。これが「立っているだけで疲れる」感覚の正体です。
では、どうすれば重心を整えられるのでしょうか。まず大切なのは「足の裏全体で地面を感じること」です。かかとに体重を寄せすぎず、逆に指先に突っ込みすぎないよう、土踏まずを含めて足の裏全体で床を押す意識を持ちましょう。次に、骨盤を少し立てるようにしてお腹と背中を軽く伸ばすと、腰や背中の筋肉が過度に緊張せず、自然に体の軸が整います。
さらに、立ち姿をチェックする簡単な方法があります。壁にかかと・お尻・背中・後頭部をつけて立ってみてください。このとき腰と壁の間に手のひらが一枚入るくらいのすき間があれば、おおよそ良いバランスが保たれています。これを基準に、普段の立ち姿も少しずつ意識してみましょう。
立ち姿は「無意識にとっている習慣」だからこそ、疲れやすさに直結します。ほんの少しの意識で、足や腰への負担が減り、1日の終わりの疲労感も変わってきます。まずは通勤の待ち時間や家事の合間など、1分でも「重心を整える時間」を作ってみてください。その積み重ねが、疲れにくい体をつくる第一歩になります。毎日の立ち方が変わるだけで、あなたの体の調子も確実に変わっていきますよ。