普段、私たちは特に意識せずに呼吸をしています。しかし、「呼吸が浅い」と感じるときや、息苦しさを覚えるときはありませんか?実はその原因のひとつが「座り方」にあります。
まず、呼吸と姿勢のつながりをイメージしてみましょう。人は息を吸うときに胸やお腹がふくらみます。その際に背骨や肋骨がスムーズに動けることが大切です。ところが、椅子に浅く腰かけて背中が丸くなった状態では、肋骨や背骨の動きが制限され、胸やお腹のふくらみが小さくなってしまいます。結果として、呼吸はどうしても浅くなり、十分に酸素を取り込めなくなるのです。
一方で、骨盤を立てて背筋が自然に伸びた座り方では、肋骨やお腹まわりに余裕が生まれます。胸が上下に広がりやすくなり、お腹の奥の方まで空気が入りやすくなるのです。まるで風船をしっかり膨らませるように、スムーズな呼吸ができる状態といえるでしょう。
さらに、呼吸の深さは「気持ち」にも影響します。浅い呼吸が続くと体に力みが出やすく、疲れやすさや集中力の低下につながります。逆に深い呼吸ができると、全身の緊張がほぐれやすくなり、気持ちの安定にも役立ちます。
では、具体的にどのように座ればよいのでしょうか?ポイントは3つあります。
1. 骨盤を立てること
椅子に深く腰かけ、お尻の下にある骨がまっすぐ立つように意識します。これが背筋を自然に伸ばす土台になります。
2. 足を床につけること
足が宙に浮いていると腰が安定せず、背中が丸くなりやすいです。座面の高さを調整して両足がしっかり床につくようにしましょう。
3. 肩や首の力を抜くこと
背筋を伸ばそうと力を入れすぎると逆に呼吸が浅くなります。肩の力を抜き、胸を軽く開くイメージを持つと、自然な呼吸につながります。
座り方を少し意識するだけで、体に取り込める酸素の量が変わり、気持ちまで軽くなることがあります。深い呼吸は特別なトレーニングではありません。ぜひ、今日から「座り方」と「呼吸」の関係を意識してみてください。