~膝をいたわる座り方のコツ~
日常生活の中で、正座やあぐらの姿勢をとる機会は意外と多いものです。和室での食事やお茶の時間、親族の集まり、ヨガや瞑想の時間など、私たちは無意識にこのような座り方をしています。しかし、これらの姿勢は膝に少しずつ負担をかけていることをご存じでしょうか?
まず正座ですが、これは両膝を深く曲げて体重を乗せる姿勢です。長時間この姿勢を続けると、膝の前側にある組織が押しつぶされるような状態になります。これにより、膝が重だるく感じたり、しびれたり、立ち上がるときに強い痛みが出ることもあります。
一方、あぐらは比較的リラックスした姿勢に思えますが、体の柔らかさによっては、膝の外側に引っ張るような力が加わることがあります。股関節が硬い人は、股関節ではなく膝で体を支えることになり、無理なねじれや引っ張りが膝に集中します。また、骨盤が後ろに傾いた状態で座っていると、背中が丸まり、姿勢が崩れることで、膝や腰にも影響が出やすくなります。
では、膝に負担をかけずに正座やあぐらを楽しむにはどうすれば良いのでしょうか?
ポイントは「時間」「道具」「姿勢」の3つです。
まず「時間」。30分ごとに立ち上がったり、足を伸ばす習慣をつけましょう。短い時間でも体を動かすことで、血流が良くなり、膝の疲れを軽減できます。
次に「道具」。正座用の小さな椅子や、座布団・クッションを膝の下やお尻の下に敷くことで、膝の曲がりをゆるめることができます。あぐらの場合も、お尻の下に少し高さを出すと、骨盤が立ちやすくなり、自然と膝の負担が減ります。
最後に「姿勢」。背筋をまっすぐに保ち、骨盤を立てることを意識してみましょう。お腹や腰回りに軽く力を入れて、上半身を支えると、膝だけに頼らない安定した姿勢になります。
膝は日々のちょっとした使い方の積み重ねで、状態が変わっていきます。自分の姿勢やクセに目を向けて、少しずつ見直していくことが、将来の膝の健康につながります。
