筋肉が硬くなると痛みが出る。
これは多くの方が経験的に知っている事実ですが、「なぜ痛みとして自覚されるのか」まで体系的に説明されることはほとんどありません。
実際には、筋肉が硬くなること自体が、すぐに痛みを引き起こすわけではありません。硬さがあっても問題なく動ける場合もあれば、ある段階を超えたときに初めて、痛み・違和感・動かしづらさとして表面化することもあります。
この違いは、体質や年齢の問題ではなく、痛みが生じる生理学的な仕組みの違いによるものです。
■ 筋肉が硬くなることで生じる痛みは3つに分類できます
1. 血流障害によって痛みが生じる仕組み
筋肉が硬くなり厚みを持った状態が続くと、血管が持続的に圧迫されやすくなります。この状態が続くと、酸素や栄養の供給が滞り、代謝産物が局所に滞留しやすくなります。
体はこれを異常な状態として認識し、血管を拡張しようとする反応が起こります。その過程で、痛みに関与する物質(ブラジキニンなど)が関わり、「重だるさ」「鈍い痛み」「押すと痛い」といった自覚症状としての痛みが立ち上がってきます。
このタイプの痛みの特徴:
・同じ姿勢を続けていると、徐々につらくなる
・動き始めに痛みや違和感を感じることがある
・しばらく動かすと楽になることが多い
・温めると和らぐことがある
2. 筋肉の短縮・可動域制限によって痛みが生じる仕組み
筋肉が硬くなり縮んだ状態が続くと、その筋肉が関わる関節の可動域は少しずつ失われていきます。可動域が制限された状態で日常動作を続けると、負荷が特定の関節や組織に集中しやすくなります。
その結果、「特定の姿勢や動作で痛みが出る」「動かすと引っかかるような違和感がある」「ある方向だけ極端に動かしづらい」といった形で、痛みとして自覚されます。
3. 多数の筋肉が一気にロックしたときに起きる急性の痛み
ある瞬間を境に、強い痛みが突然出現し、「動けない」「力が入らない」と感じるケースがあります。これが急性の痛みです。
一定以上の範囲・量の筋肉が同時にロックすると、体はそれを「怪我をした」と誤認し、炎症反応を強く立ち上げます。その結果、強い痛みとして自覚されます。