広島平和記念公園を訪れたとき、ふと目に留まったのが「被爆アオギリ」でした。
あの木を前にして、私がまず思ったのは「DNAは大丈夫だったのだろうか、どうやって生き延びたのだろう」ということでした。
この世に生きるすべての生物の最小単位は「細胞」であり、その細胞の中の核には「設計図」であるDNAが存在しています。しかし、強い放射線を受けるとそのDNAは傷つけられてしまいます。DNAが破壊されると設計図が誤って書き換えられてしまい、正しく再生されなくなるのです。
それでも被爆アオギリは、幹の一部の細胞がDNAを守り抜き、そこから新たな芽を出し続けました。80年という長い年月を経てもなお、その生命力は衰えることなく、平和記念公園で力強く枝葉を広げています。
私は徒手施術家として、日々人の身体のコンディションやリカバリーについて考えています。被爆アオギリの力強い姿は、まさに「細胞が本来持つ修復力と生命力の証」であり、私が大切にしている“人の回復の可能性・希望”と深く重なって見えました。
