波満

中野の路地裏に佇む「波満」で、
新鮮な海の幸との贅沢な出会いを楽しみました。
暖簾をくぐると、波のように穏やかな空気が流れ、
カウンターでは大将が丁寧に魚を捌いています。
その日の朝に築地から仕入れた旬の食材を使った
おまかせコースをお願いしました。
先付けは、蛤のお浸し。
ほのかな磯の香りと共に、
春の訪れを感じる一品です。
お造りの盛り合わせは、圧巻の美しさ。
真鯛、平目、かつおと、
どれも新鮮そのもの。
わさびを添えた瞬間の香りが食欲をそそります。
煮物椀は、鱈の子と若芽。
澄んだ出汁に広がる海の香り、
春の潮風を感じるような優しい味わい。
焼物は、のどぐろの塩焼き。
皮はパリッと、身はふっくらと、
脂の乗りが絶妙です。
強肴の蛸の桜煮は、
やわらかな食感と共に、
じんわりと染み出る旨みが絶品。
蒸し物は、鯛の潮蒸し。
昆布と共に蒸し上げられた身は、
ほのかな磯の香りと共に、ふわりと口の中でほどけます。
お食事は、桜海老の炊き込みご飯。
土鍋から立ち上る香りに、
春の海を想う贅沢なひととき。
器も趣向を凝らしており、
波模様の青磁や、
貝殻をあしらった織部など、
海のイメージが随所に感じられます。
大将との会話も楽しく、
その日の仕入れ話や、
魚にまつわる豆知識に、すっかり時を忘れます。
また新しい季節の魚を求めて、
この穏やかな空間を訪れたいと思います。
心からのごちそうさまでした。