魚隆

被害向島駅か曳舟駅とどちらからもアクセスが同じくらいの
地蔵坂商店街

かつて友人のご母堂が認知症を患い
切ない気持ちを抱いて幾度もこの書店街を通り
入療先に通ったことがあります

通う回数が重なるごとに症状が重くなって
都度、帰路の気分も重くなり…

そんなとき、偶然通りかかった魚屋さんの店先に
川エビの佃煮が並べられていたんでした

あまり佃煮類は食べないのですが
川エビは、数少ない食べる種類のひとつ
深いえんじ色というか、飴色というか
見てからの美味しそうで、ひとつ買い求めてみたわけです

白いご飯の上で
川エビの佃煮がなんと美しく見えたことか！
そっと期待し、だけど裏切られたら…と気を引き締め？て口に
ヤヤッ、なんとなんと！！！

甘辛さと醤油のほど良さ、色の美しさと照り
美味しくて、あっという間になくなってしまったほど

で、友人のお母様のお見舞いが
川エビの佃煮を帰りに買う、と言う目的に変わっちゃいました
おばさま、ごめんなさい
と、内心で侘びながらも、この佃煮を必ず買って帰ったもの

すでに彼岸へ渡られてしまい
この魚屋さんに出向くことはなくなりましたが
チャンスがあれば、もう一度、と密かに心決めています