引きつづき、具体的な国語力向上のための「心」のうち、<小学校低学年>についてお話しします。
小学3年生は、まだ「悲しみ」とか「善悪」ということを考えさせるには、少し早い年代です(日々の生活の善悪は、もちろん別です)。いっぽうで「学校」という「社会」には、すっかり慣れて来ていますから、生活や交友の範囲が広がって行くのと同じように、読むものの世界も広げて行きます。題材の種別の「幅」ではなく、書かれている内容の世界を広くするということですね。
1・2年生における、身のまわりのことを対象とする世界から場面が広がり、あるいは生き物についてなら、より細かく、詳しく観察をする内容というように、文章の中身が深く、広くなって行き、それにつれて「心」の動きも広がって行く、という流れになります。
2年生は、本格的に「文」を読めるようになる段階です。同時に、1年生での単文(一文の中に主語・述語が一組だけの文)中心から、重文(一文の中に、並立の関係の二組の主語・述語が含まれる文)や、少しずつ複文(一文の中に、関係の違う二組以上の主語・述語が含まれる文)も出て来るようになります。「2年生ごろから国語が苦手になった」と振り返る子が多いのは、テストで内容の○×がふえることのほかに、この「複文」の関係がよくわからないまま2・3年生を過ごしてしまうからかも知れません(文法として単文・重文・複文の学習が必要だということではありません)。
読解という観点からは、「ことば」と「文」を読むこと自体が目的であり中心だった1年生とくらべ、内容にきちんと入りはじめる段階です。ただ、まだ生活の範囲も狭いので、本人の理解の及ぶ範囲の内容で、自分の「気持ち」に気づかせてあげるような指導が望まれます。
1年生は、人によってはひらがなから習い始め、自分の名前、学校や先生の名前、友達の名前、日々ふれ合うものごとすべての名前や、生活の中で用いられることばを身につけて行くことが中心です。もちろん「文」も読みますが、その結果、「何を思ったか」などと問うことは、一般的にはまだできません(問うならば、好きか嫌いか式の二者択一か、いくつかの形容詞や形容動詞を示して〜やさしい、意地悪だ、悪い、かっこいい等々〜選ばせるのが妥当なところでしょう)。
だから、「心」との関連がないのかというと、そんなことはありません。どんどん知識を増やし、関心を広げて行くこの時期にこそ、ことばや短い文の単位で、「感じとる心」を育ててゆくことが大切です。そのフィールドは「身のまわり」であり、ことば=少し硬く言うと「名辞」の認識のさせ方によって、イメージを広げてゆくことができるのです。
これまで述べて来たことを、低学年・高学年の別でまとめてみます。
1年生〜3年生は、身のまわりのものごとから、だんだん広い範囲へと知識や関心を広げていく中で、言葉のイメージや想像力を豊かにすることで、国語の力が伸びて行きます。
4年生〜6年生では、それを掘り下げて、深い、感情の部分にまで思考と感性を届かせて行く、そして結果的に、表現も上達して行く、こうした流れを作って行くことが、読解を中心とした国語指導の目標となります。
以上のような国語指導を、言問学舎では実践しています。また、塾へお出でになることができないお子さんたちのために、通信添削講座の開講を準備しております。詳細は近日中にお知らせしたいと存じます。また「中学生の<心>」と国語とのかかわりについては、時機を改めてお伝えさせていただきます。
◇前回までの各章については、「資料請求はこちら」よりご覧いただけます。
第3回 具体的な、読解力向上のための「心」とは?その①<小学校高学年>
第2回 国語力を向上させる「心」とは、広義の「心」です。
第1回 「心」からのアプローチが、国語力を向上させます。
の順に並んでいます。
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