先日来、言葉や文章の持つ「音韻」を生かした音読が、お子さんたちの読解力、国語力向上に役立つということを動画でご紹介しています。せんだっての一連はその仕組みの部分をお話しするのが中心でしたから、今日は実際に、お子さんたちの勉強の場でどのようにそれが生きるかということを、ご紹介したいと思います。
①国語で文章を読む場面
②算数など他の教科で生きる場面 の二つです。
まず①について、川端康成の『雪国』の冒頭の文章をお借りします。
<国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。>
「音韻」を生かした音読とは、この文章の「国境」「長い」「トンネル」「雪国」などの言葉が持つリズム、アクセント、意味、そしてそれらが組み合わせられて生み出している文章としての味わいを生かして読み、聞き手である子どもたちに、何かを感じとらせることです。それが最初の一文でできていてこそ、国語がさして好きでない、得意でもないお子さんにも、二文目の「夜の底が白くなった。」の味わいが、ある程度伝わるのです。
もし、好きでも得意でもない子がこの文章を黙読したら、「夜の底、ってなに?」、「それが『白くなった』なんて、わけわかんない」で終わりになる可能性が高いと考えられます。多くの子どもたちにとって、それが「勉強」というものであり、その「わからない」壁をこじ開けて子どもたちを引き込むところに、教員の腕の見せ場があります。
また②として、わかりやすい算数の文章題の例をあげます。
<仲良しグループでケーキを買うため、6人でお金を集めました。1人400円ずつ集めたところ、1500円のホールのケーキひとつと、クッキーの小ぶくろが6ふくろ買えました。クッキーは1ふくろ何円ですか。>
このような問題で、いっぺんに最後の答えを考えようとして、「わからない」とお手上げになってしまう子がかなりいます。この問題は式を三つ、立てる必要がありますね。
400×6=2400
2400-1500=900
900÷6=150
の三つです。慣れている子は、自分で問題文を小分けにし、順々に式を立てていきます。それができずに全体をまとめて考えてしまおうとする子には、一緒に音読をしながらスラッシュ「/」を入れさせればいいのです。
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