先日、都立高校の入学者選抜における男女別定員(募集)撤廃のニュースが流れました。東京都教育委員会のホームページには、<男女別定員制の緩和>として、「段階的に移行する」と書かれています。NHKニュース(NHK首都圏ナビ)では「撤廃の方針」とされていますので、将来的には男女で定員を分けることのない「一本化」をめざす方向なのでしょう。なお、2021年実施の入試(入学者選抜)までも一部の学校で定員の10%について「男女枠緩和」が実施されており、「段階的移行」とは、その緩和を流動的に拡大して行くことを指すようです。
さて、現行の男女別定員とはどういうものなのか。ここでは具体例に基づき、かんたんにご説明します。日比谷高校では、2021年2月実施の入学者選抜の際、男子の募集定員が132人、女子が122人となっていました。これに対し、男子の最終応募者が297人、女子は238人、この時点での倍率が、それぞれ2.25倍、1.95倍となっています。2月21日に実施された第一次選抜(一般入試)において、この状況のまま、男子は男子、女子は女子とそれぞれ別々に、合格・不合格が決められたのです(実際の判定は、当日の入試を700点満点、3年2学期の通知表の評定を300点満点に換算した1000点満点での得点上位から、男子142人、女子130人が合格。ただし日比谷は当日受験者が毎年大幅に減るため、実受験者数は男子215人、女子202人)。これが「男女別定員(募集)」の仕組みです。
ニュースなどでは、一般に「女子が不利」、「女子が大変」と言われています。日比谷の男女別の応募者数、倍率は、いつも男子の方が多い(高い)ので、上記の数字では男子の方が厳しいように見えますが、例えば同じ旧第1学区の三田高校では、最終応募時点の倍率が男子2.07倍、女子2.99倍となるなど、応募者数でも倍率でも、女子の方が激戦となるケースが多いのです。そして三田高校を含む数十校では、10%のみこの男女枠を「緩和」する、すなわち男子の得点下位の10%は合格とせず、その分女子が合格となる制度がとられています。
では本題に入りましょう。長年東京で高校受験指導をしている立場から、この「男女別定員(募集)」でどんなことがあったか、また「撤廃」されるとどうなると考えられるか、そうした「生」の情報、見解をお伝えしたいと思います。
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