私ども言問学舎は、2003年6月の創業で、2004年2月の都立高校入試から、18年間、高校受験指導をして来ました。この間、やはり「男女別定員(募集)」で女子の条件が厳しいため、手痛い結果となった子が何人かいます。そもそも、巷間「女子の方が優秀」「同じ点数で男子は合格、女子が不合格となるのは不公平だ」などと伝えられるようになる背景として、おしなべて女子の方が日々こつこつと勉強し、中学校の提出物などもおろそかにすることがない、という実情が考えられます。それゆえまず内申点(調査書点)の段階で、総じて女子の方が得点が高いのです。そのため特に、中堅上位校で女子が2倍前後の高倍率となることが多かったのですが(一般入試)、倍率が2倍に近づくと、模試や入試案内などの合否予想ラインぎりぎりか、時にはそれを上回る得点がボーダーラインとなる事態が生じ、文字通りの「激戦」となるのです。
また、3年間の頑張り、蓄積の差が、高校受験の時点ではそのまま学力の差となっていて、不思議はありません。それゆえ「まじめに頑張って来た」女子が、入試の結果で悲しい思いをする、ということを、私自身も経験しておりますし、今回のような報道に際しても、大きな声として上がって来るのでしょう。
ただ私の考えは、この男女別定員(募集)撤廃に、もろ手をあげて賛成というわけではありません。現在の一部校での「10%緩和」が拡大されることについては、問題なく賛成と言えますが。
というのは、仮にいきなり、「男女まとめての合否決定」になったことを考えてみると、次のようなことが容易に想像できるからです。
①学力上位校で、軒並み女子の合格者が多くなり、その学校内での成績上位層にも女子が集中する。
②地域によって、「女子が多い学校」「男子が多い学校」が偏在することになり、学校間の学力差も拡大する可能性がある。
③学力中・下位層で、男女どちらかに偏った学校の不人気がつづき、存続が危うくなる。
これらは学力面から考えうることだけで、部活動や生活面など、派生することがらはいくらでも考えられます。学校運営をする立場にあっては、危惧が大きいことと思われます。もちろん教育行政の側でもさらに多様な想定・分析をしているからこそ、教育委員会の公表する「段階的移行」という方針になっているのでしょう。
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