昨年、2020年初頭から日本国内でも新型コロナウイルスの感染者が認められ、この1年半ほど、子どもたちの身めぐりもコロナ対策に翻弄される状況がつづいています。しかし気がつくと、時代はすっかり2020年代に入っています。
2000年代、言ってみれば「00」年代は、「ゆとり教育」の時代でした。「10」年代に入って「学力重視」への回帰が図られましたが、「国語力」・「読解力」、とりわけ現場で生の子どもたちの「読みとる力」を間近に見ている立場からすると、時を追うほどにその力が弱くなっていることを、指摘しないわけに行きません。
具体的な例を挙げます。
①算数や数学の文章題で、問われている(求められている)内容が理解できない。
②国語の文章を読んでも(音読をしてさえも)、その内容が読みとれていない。
このような学力の不足は、もちろん40年前、50年前にもみられましたが、近年①②の例の通りのお子さんが、とみに増えているのです。またその度合いも、この20年の間で比べても、強くなっていることを感じます。このような時代に求められるべきものこそ、私ども言問学舎が提唱、実践している「真の国語教育」にほかならないと考えます。
「真の国語教育」とは「知識」や「解き方」、「形」を教え、訓練するだけでなく、学習者自身が文章を正しく読みとり、時にはそこに書かれている以上のものを受けとめるだけの力を育むことです。それはやはり、「文章を読む」ことでのみ、培われるものでしょう。
また、「文章を読む」ことは、ある意味忍耐を要することでもあります。そのかわり、忍耐の段階を通りすぎ、文章を読むことの楽しさを知る段階にまで達すれば、そこには深い魅力的な世界が待っているのです。先人の文章を読んで広い世界を知り、次いで自分の世界を構築して、また新しい文章を生み出すという、多くの先人たちの繰りたたねて来た「文章にまつわる営み」こそが、人間の考える世界、心の広がりを生み出して来たということに、異論のある方は少ないのではないでしょうか。
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