「国語力を身につけることが大切だ」とお考えの保護者の方が、ここ数年比率としても増え、さらに真剣さの面でも、従来以上にその度合いを強くしていることを感じています。新学習指導要領や大学入学共通テスト(仮称)の影響も大きいでしょうし、一方ではまた、子どもたちの国語力の低下を、身をもって感じている方が増えているためではないでしょうか。
言問学舎は2003年6月の開業です。かんたんに言って、00年代、10年代という二つの時代を見て来ていますが、それより前、90年代にも、私は学習参考書の出版社に勤めていて(88年より)、多くの塾の先生方から、子どもたちが国語が苦手である、国語を何とかしたい、というご意見を、お聞きしておりました。この時の経験が、言問学舎の創業にも大きく関与しています。
さて、では00年代と10年代で、子どもたちの国語力、国語に対するかかわり方は、変わったのでしょうか。はっきり「そうだ」と言える面もあり、「変わってはいない」面もあるというのが、率直なところです。変わった方から挙げると、読むのがきらいだ、読んでも何も感じない、という子がさらに多くなったと言えますし、その低年齢化も進んでいるように思われます。単純に原因・理由を決めることはできませんが、携帯電話・スマートフォンに代表されるデジタル機器の普及が進んだこと、小学校でのテスト(国語)が増え、1年生でもテストの得点で悩む子が多くなったことなどが、その背景にあると思われます。
後者については、2009年に小学校、2010年に中学校の指導要領が改訂され、いわゆる「ゆとり教育」から「学力重視」への転換が行なわれるようになりましたから、00年代と10年代の「変わり目」として、大きな要素であったことは間違いないでしょう。前述した通り「理由は一つではない」のですから、「学力重視」が国語力低下の原因だなどとは、毛頭考えておりません。ただ、テストが多くなる環境の中で、子どもたちが国語を学ぶ場面にゆったりと言葉を味わい、感性を育むような土壌が期待できるのかというと、望みは薄いように思います。
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