コトトイガクシャ

言問学舎

国語を磨いて学力アップ、受験も成功!

3.72
口コミ
5件
写真
20件
更新日

『ガラスのうさぎ』の高木敏子さんに誓う

『ガラスのうさぎ』の高木敏子さんに誓うの写真

 8月6日、9日につづき、終戦(敗戦)81年を迎えた今日8月15日のブログを、言問学舎ホームページから常体のまま転載させていただきます。


 本題の前に、ふるい拙歌をご紹介することをおゆるしいただきたい。

 黙禱の母と二人の部屋にゐて仰ぐほかなき正午のひかり   『奇魂・碧魂』小田原漂情

 30年と少し前、おそらく31歳の時の作である。8月15日の正午、全国戦没者追悼式を母と二人で見ていた。首相は村山富市氏だったろうか。30歳を過ぎていたから、その折のことを短歌に書きはしたが、自分自身がまだ広島平和記念資料館と長崎原爆資料館の双方を訪問しておらず(広島へは前々年に行っていたはずである)、形だけ黙禱をすることが憚られ、窓外の天を仰ぐだけだった。

 その後32歳の年に長崎原爆資料館や平和祈念像、如己堂などに手を合わせたので、それから15日に慰霊式を視聴できる時は、ずっと黙禱することをならいとしている。今年も同様であったが、今日は陛下のお言葉のうち「過去を顧み、深い反省の上に立って」に先立って、「戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ」という箇所が、とりわけ強く印象に残った。

 昨日、ネットニュースで拝見したのだが、さる8月8日に、『ガラスのうさぎ』をお書きになった高木敏子さんが亡くなられたという。『ガラスのうさぎ』については、今年の夏は2人の小学4年生が読書感想文の対象として選び、1人はだいたい書き終えた。以前にブログに書かせていただいたこともあるが、この本も、長く子どもたちが読書感想文の対象として選び、学んでいる。

 『ガラスのうさぎ』(1977年12月初版発行/金の星社)の主人公である著者の高木敏子さん(作中に登場している年代は江井敏子さん)は、1945(昭和20)年3月10日未明の東京大空襲でお母さんと2人の妹さんをなくされ、さらに8月には、新潟へ引っ越そうとしていた二宮の駅で、米軍機の機銃掃射によりお父さんをも失われた。あまつさえ、当時女学校の1年生(現在の中学1年生と同年齢)だった敏子さんは、医師から死亡診断書を受けとり、一人で役場へ行って火葬許可書と埋葬許可書をもらった上、リヤカーを頼んでお父さんのなきがらを小田原の火葬場まで運んで、お父さんの葬儀を一人で出されたのである。

『ガラスのうさぎ』の高木敏子さんに誓うの写真_1枚目

画像はJR東海道本線二宮駅前にある「ガラスのうさぎ」の像

 小学6年生から中学1年生という年齢だった敏子さんは、半年にも満たぬうちに戦争で両親を相次いでなくされ、その後も大変な苦労をなさった。また戦中、小学5年生の時には、スリップの配給がなくなったためお兄さんのランニングシャツを着ることになり、そのままでは恥ずかしいので、胸のところに花の刺繡を自分でして学校に着て行ったところ、担任の先生にひどく怒られ、その場でほどかされたという。その時代のことを『ガラスのうさぎ』ではこう書いている。‐「何事もすべてご無理、ごもっともと、受けいれなければならない時代」。それは、まさに思春期にその時代を生きぬかれた敏子さんご自身の経験であり、後世にそれを伝えるために、ご自身の言葉で記してあるのだ。「あとがき」のお言葉も引用させていただきたい。
「今は、この『ガラスのうさぎ』が一人でも多くの子どもさんたちの手に渡り、私の証言をとおして、戦争の無残さや虚しさを、また生命の尊さを知っていただき、平和を大切にする心を育むことに少しでも役立てばと念じています。」

 また本文の末尾では、日本国憲法第九条を引用され、感慨をお述べになっている。憲法第九条ともども、引用させていただく(九条、本文とも抜粋)。

「第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 この文面は、わたしにとって、まさに輝く太陽のように、まぶしく見えた。これなんだ、もう私たち国民は永久に戦争を放棄したのだ。 中略
 わたしは生きている限り、この憲法を守りつづけたい。そしてわたしの次の世代、またその次の世代へと、この悲しみを伝えていきたいと思った。二度と戦争をくり返さないために。」

 私もこの『ガラスのうさぎ』をいく度も読み、戦争の無残さや虚しさ、生命の尊さを教えていただいた。また読書感想文以外の授業でも、子どもたちに高木敏子さんの証言を伝えることがある。今日、高木さんが世を去られた今年の8月15日に、改めて高木さんの証言とお心を語り継ぎ、伝えつづけていくことを、誓うものである。

令和8(2026)年8月15日
小田原漂情

※以下の画像は「ガラスのうさぎ」像の碑文

『ガラスのうさぎ』の高木敏子さんに誓うの写真_2枚目

カテゴリー別

お知らせ
1789

日付別

2026年09月
4
2026年08月
13
2026年07月
21
2026年06月
18
2026年05月
9
2026年04月
10
2026年03月
11
2026年02月
17
2026年01月
11
2025年12月
11
2025年11月
8
2025年10月
9
2025年09月
13
2025年08月
14
2025年07月
18
2025年06月
18
2025年05月
10
2025年04月
14
2025年03月
10
2025年02月
12
2025年01月
12
2024年12月
6
2024年11月
15
2024年10月
9
2024年09月
11
2024年08月
11
2024年07月
25
2024年06月
19
2024年05月
7
2024年04月
9
2024年03月
6
2024年02月
17
2024年01月
14
2023年12月
6
2023年11月
8
2023年10月
5
2023年09月
9
2023年08月
6
2023年07月
4
2023年06月
7
2023年05月
7
2023年04月
6
2023年03月
8
2023年02月
10
2023年01月
9
2022年12月
6
2022年11月
13
2022年10月
5
2022年09月
9
2022年08月
7
2022年07月
9
2022年06月
11
2022年05月
7
2022年04月
7
2022年03月
5
2022年02月
8
2022年01月
9
2021年12月
7
2021年11月
6
2021年10月
3
2021年09月
12
2021年08月
5
2021年07月
5
2021年06月
6
2021年05月
5
2021年04月
3
2021年03月
5
2021年02月
5
2021年01月
3
2020年12月
2
2020年11月
1
2020年09月
3
2020年08月
2
2020年07月
4
2020年06月
6
2020年05月
2
2020年04月
3
2020年03月
7
2020年02月
10
2020年01月
2
2019年12月
3
2019年11月
8
2019年10月
1
2019年09月
3
2019年08月
3
2019年07月
5
2019年06月
8
2019年05月
5
2019年04月
9
2019年03月
4
2019年02月
6
2019年01月
7
2018年12月
2
2018年11月
14
2018年10月
5
2018年09月
2
2018年08月
4
2018年07月
7
2018年06月
15
2018年05月
9
2018年04月
6
2018年03月
11
2018年02月
8
2018年01月
5
2017年12月
5
2017年11月
15
2017年10月
4
2017年09月
8
2017年08月
8
2017年07月
10
2017年06月
19
2017年05月
8
2017年04月
8
2017年03月
14
2017年02月
16
2017年01月
15
2016年12月
6
2016年11月
13
2016年10月
9
2016年09月
5
2016年08月
8
2016年07月
11
2016年06月
14
2016年05月
9
2016年04月
9
2016年03月
14
2016年02月
5
2016年01月
9
2015年12月
8
2015年11月
7
2015年10月
9
2015年09月
11
2015年08月
8
2015年07月
9
2015年06月
19
2015年05月
14
2015年04月
15
2015年03月
14
2015年02月
8
2015年01月
15
2014年12月
10
2014年11月
11
2014年10月
13
2014年09月
11
2014年08月
11
2014年07月
12
2014年06月
20
2014年05月
22
2014年04月
25
2014年03月
25
2014年02月
28
2014年01月
25
2013年12月
14
2013年11月
19
2013年10月
17
2013年09月
19
2013年08月
15
2013年07月
15
2013年06月
20
2013年05月
21
2013年04月
22
2013年03月
27
2013年02月
24
2013年01月
18
2012年12月
7
2012年11月
11
2012年10月
10
2012年09月
8
2012年08月
11
2012年07月
12
2012年06月
11
2012年05月
16
2012年04月
7
2012年03月
9
2012年02月
10
2011年12月
1
2011年11月
2
2011年10月
1

概要

住所

東京都文京区西片2丁目21−12

アクセス

東大前駅1番出口より徒歩1分、ほか3線4駅利用可

最寄駅
バス停
  • 東大農学部前から110m (徒歩2分)

訪問依頼カレンダー

お知らせ

更新日

言問学舎の最大の特徴は、真の国語と生徒を思う気持ちの強さ、指導力です NEW

言問学舎の最大の特徴は、真の国語と生徒を思う気持ちの強さ、指導力ですの写真
更新日

岸恵子さん NEW

岸恵子さんの写真
更新日

今からの中学受験は、幅広く、その人にとっての最善の道へサポートします NEW

今からの中学受験は、幅広く、その人にとっての最善の道へサポートしますの写真

口コミ投稿、写真投稿で最大20ポイントGET