言問学舎の出版事業は、2019(平成31)年3月、『国語のアクティブラーニング 音読で育てる読解力 小学5年~中学2年対応1(続刊は小学5年生以上対象2、3)』の刊行からスタートしました。母体が学習塾の言問学舎で、生徒第一のなりわいの中で本づくりをしていますから、多くの点数を出版することはできませんが、コロナ禍が深刻だった2020年、2021年を除いて、年2冊の刊行ペースを守って来ました。
そしてこのほど、13点目となる新刊、『涙とユーモアのショートストーリー 騒々しい喫茶店』(石井綾乃著)を刊行、発売致します。これまでの刊行物とはやや異なる、軽い読み物で、サブタイトルの「涙とユーモアのショートストーリー」そのままの、笑いあり、そして胸に深くとどまる涙ありの170ページ、読んで気持ちの良くなる本であります。
率直なところをお話ししますが、著者・石井綾乃は言問学舎舎主・小田原漂情の妻であり、長く短歌を書いていて、歌集も2冊上梓しております(歌集『風招ぎ(かざおぎ)』、歌集『猛禽譚(もうきんたん)』。後者は言問学舎発行)。短歌では激しい情熱を歌うことで知られていますが、今回の小品集は軽くしっとりした、涙とユーモアのショートストーリー集です。軽い読み物の中に鋭い社会風刺や時勢への冷めた批判精神がちりばめられており、年代を問わず楽しむことのできる本として、紹介させていただきます。
<作品紹介>
すると、やっぱりオーダーするのを待っていたおばあさんが、店員を呼び止めました。
「ねえ、あなた。ウインナコーヒーってなんなの?」
店員は一生懸命説明しました。
「コーヒーの上にホイップした生クリームをのせたものです」
しかし、おばあさんはなおも、
「ウインナーがのってるんじゃないの?そっちのほうがいいんだけど」
店員は必死です。
「お客様、それでしたら、ウインナードックを召しあがったらいかがでしょう?」
「お腹は空いてないのよ」
ハ長調の部「騒々しい喫茶店」より
涙とユーモアのショートストーリー 騒々しい喫茶店 石井綾乃著
2025年10月25日発行 A6判170ページ
定価1,100円(本体1,000円+税)
ISBN 978-4-9913636-2-7
言問学舎発行
取次から書店さんに送られて店頭に出る見込み、およびネット書店注文可となる発売日を、本年10月30日としております。が、言問学舎にはすでに在庫が納品されておりますので、お立ち寄りいただいてご購入いただくことが可能です。通信販売にも対応致しております。言問学舎ホームページのお問い合わせフォームからどうぞ。Amazonでもご注文いただけます(10月29日は予約販売です)。