この言問学舎の記事では、国語の重要なポイントや、見逃すべきでない教育情報に分析を加えてお伝えするほか、「基本を大切に」という意味のことをお話しすることも多いです。「すばやく効果の上がる方法」を求める、特に年齢が上の方の受験生が多いと思われますが、その年代の人たちは、やはりわかりやすい、即効性のある勉強法(と見えるもの)に強くひかれるのでしょうね。
しかし、一見遠回りのような「基礎の徹底」をするべき時にした方が、結局はあとの伸びが早く、しかも大きいのです。つまり、それが一番受験生、みなさんのためになります。具体的には、大学受験で「国語を稼ぎ頭」にすることができるようになります。
その例であり、本稿の本題でもある文語文法、すなわち古文の文法についてお話しします。ここでもっとも大事な「基礎」は、動詞の活用9種類と、その活用を正確に身につけることです。それも、未然形で「ず」を後ろにつけてア段なら四段、ナ変、ラ変、エ段なら下一段、下二段というような即効型の見分け方でなく、ナ行下二段動詞「寝(い)ぬ」なら寝(い)ね‐ズ、寝(い)ね‐タリ、寝(い)ぬ。寝(い)ぬる‐トキ、寝(い)ぬれ‐ドモ、寝(い)ねよ!という実際の活用が反射的に出てくるよう、活用について鍛えることを言います。
なぜ、「即効型」が駄目で、「全活用型」が良いのか。その局面はたくさんあるのですが、ここではもっともわかりやすく、かつセンター試験時代から頻出の「係り結び」を例に上げます。
このおとどこそ、「皇胤なれど姓を賜ひてただ人にてつかへて、位につきたるためしやある」と、申し出で給へれ。(大鏡)
「即効型」の考え方で活用と向き合っていると、多くの人が、このくだりの「こそ」~「申し出で給へれ」という係り結びを気にとめずに読み進むのではないしょうか。「ぞ」「なむ」「や」「か」の連体形の時など、さらにそうなると思われます。多くの人は「係り結び」を考えるのは、問で係り結びが出題された時だけですね。
それではいざ出題された時に、余計に時間もかかります。「全活用型」が身についていて、すべての動詞の活用を押さえながら読み進む人は、係り結びも文中で見た時にすべて理解しながら進みますから、あとで問に出て来た時に、わざわざ考えるまでもありません。また係り結びの見落としもなくなります。

ほかにも、「全活用型」が身についている人は、完了・存続の「り」(上の例文にもある「申し出で給へれ」の「れ」で、これは「こそ」を受けての已然形)がそれ自身連体形に活用して「る」になっているケースなどにも強いです(読むたびに認識、理解しますから、深く身につき、設問として出てきた時にも苦にしません)。このように、深い文法理解にもとづく古文の読解力を作り上げる大本が、動詞の活用を完全に把握する「全活用型」の理解の仕方なのです。
夏期講習で基礎を固めれば、秋からの実戦演習での伸び方が違います。現在東洋大学経営学部に通っている人は、入試直前の1月にこの文法の基本をマスターして、文法の出題が多い東洋大に合格しました。もちろんもっと早く、夏期講習前半でその段階をクリアすれば、秋以降の過去問演習で得点力と自信の双方を、どんどん高めることができます。
夏期講習説明会は以下の日程です。また事前予約制で個別相談、かつ無料体験授業にも対応致します。ぜひお早めにご相談下さい。夏期講習自体は7月22日から全体開講となります(一部、高校生と私立中学生の講座は、前倒しスタートです)。
◇夏期講習説明会ご案内
7月5日(土) 10時15分~ / 13時00分~ / 17時00分~
7月9日(水) 14時00分~
7月12日(土) 10時15分~ / 13時00分~ / 17時00分~
※所要時間は各回とも50分程度を予定しています。予約不要、当日飛び込み参加可ですが、全体説明後の個別相談は予約を含む先着順となります。13日(月)以降の追加日程は、有無を含めて後日ご案内致します。
説明会日程以外の日にも、個別相談をお受け致しております。無料体験授業も随時参加可能です。お気軽にメール・電話でご相談下さい。なお、生徒全員の学習環境を保持する考えから、マスクが苦手でない方にはひきつづき塾内でのマスク着用をお願いしております(入塾後の授業時についてのお願いです)。
多くの方のご来塾をお待ち致しております。大学受験生(総合選抜を含む)も、夏休み前から動くことがきわめて重要。小学生から高校生まで、幅広い層の方をお待ち致しております。ご不明な点などありましたら、メールまたは電話で、お気軽に言問学舎舎主・小田原漂情までおたずね下さい。お待ち致しております。