昨日お伝えした高校受験の仕組みの中で、都内の私立高校の「併願優遇」について、まったく知らない、聞いたことはあるがどんなものかよくわからない、という方も、おられるかと思います。
まずひと言で説明すると、「併願優遇」とは、「推薦入試に準じ一定の内申基準を満たしていれば、事前相談でほぼ合格がもらえる仕組み」です。
順序として、「推薦入試」について詳しくご説明します。都内の推薦入試は毎年1月22日から実施されます。大半は、各学校が定める推薦の内申基準を満たしていて、12月15日の在籍中学校からの「推薦相談」が受理された上で受験すれば、確実に合格となるものです。
ただ早慶及びMARCHの付属高などの「推薦入試」は、示されている「38」「40」といった基準が「受験資格」を示しているだけで、試験の結果で合否が決まる、すなわち「落ちることもある」入試ですから、ご注意下さい。このケースは、2月10日からの一般入試と合わせ、「二度受験の機会がある」ととらえればよいでしょう。ただ入試の難易度は、1月の推薦入試の方が総じて易しいです。
先に述べた通り大多数の学校の「推薦入試」は、内申基準を満たしていれば「全員受かる」入試であり、その基準は学校ごと、コースごとに、たとえば「5科18、9科30」などのように決められています。また、3科、5科、9科の基準がある場合、「どれかを満たせばよい」「どれも満たさなければならない」などの違いがありますから、各校の募集要項で確認し、不明であれば説明会や個別相談会で質問して下さい。繰り返しますが、この基準はそれぞれの学校が独自に決めているものであり、学校の数だけ基準があります。各種入試資料に載っている数字は過去のものが多いですから、受験する人は必ず、受験年度のその学校の「募集要項」で確認するようにして下さい。
そして、この「全員が受かる」推薦入試は、一般に「単願推薦」と呼ばれ、合格したら必ずその学校に入学することが大前提の入試です。合格を辞退することはできません。
さて本題の「併願優遇」ですが、「推薦入試」と同様、学校が独自に定める「併願優遇の内申基準を満たし中学校からの推薦相談を経て」受験すれば、ほぼ合格をもらえる仕組みです。ただしここでは「全員合格」ではなく、あまりに試験の点数が悪ければ、不合格になる場合もあります。
その「あまりに悪ければ」というのは、300点満点の半分である150点に満たないなど、「入学後学力的についていけない」ことを心配されるような「悪い成績」であって、183点の人は合格で182点の人は不合格、というような、上位から何人までという厳しい競争の結果ではなく、ある意味絶対評価的な「最低レベルの点数のクリア」が必要なのであり、ほぼ確実に合格がもらえる仕組みであることは間違いありません。
なぜこの「併願優遇」を利用すべきかというと、お子さんの心理面のサポートとして重要だ、ということです。中3の1月から2月、受験本番の時期になると、先述の通りまず1月22日から推薦入試の合格者が出ます。クラスの中で、「自分は決まった」と安心する子が、必ず何人かいるのです。そして2月10日からの一般入試の時期には、併願優遇を含めかなりの数の人が合格を手にしますから、クラスの中で、自分だけまだ合格がないという状況になるかも知れません。都立志望の場合、そこから10日間近く、「もしダメだったらどうしよう」(行き先がきまっていない)という精神状態で本番を迎えるのでは、合格する力があっても失敗してしまうかも知れませんね。それよりも、「万一都立が不合格でも納得できる進学先が決まっている」状態で都立本番の時までを過ごす方が、絶対に有利でしょう。これが、「併願優遇の利用をおすすめする」理由です。
併願優遇の制度は、各学校が設定する者ですから、学校によって、「併願先は都立(公立)のみ」の学校もあれば、「併願先が私立でもOK」の学校もあります。私立併願可の学校の併願優遇をもらえば、より上位の私立高を第一志望としてチャレンジすることもできます。正式な合格がでるのは同時期ですが、12月15日の推薦相談の時点で併願優遇が取れていることは確定するわけですから、やはり安心して第一志望校の勉強に集中することができます。昨年慶應義塾志木高校に進学した子も、都内の私立高の併願優遇を得た上で、一連の入試に挑み、合格を手にしました。なお併願優遇の場合は、もし事前に本命に合格していれば、受験しにいかないことで「辞退」できます。
言問学舎はこうした入試制度に精通し、一部私立高校には太いパイプも持っています。併願優遇先との折衝も含め、全力で受験成功のサポートをします。夏期講習説明会日程は7月4日までのお知らせの通りです。