10月18日から、室生犀星の『我が愛する詩人の伝記』の章の朗読をつづけて来ましたが、一昨日、16日月曜日に、第5回を以て高村光太郎の章を完結と致しました。
今回読ませていただいた部分では、犀星が光太郎のことを、次のように評しています。
<光太郎の死は巨星墜つということばどおりのものを、私に感じさせた。巨星墜つというばかばかしいことばが、やはりかれの場合ふさわしく、それだけ私は以前距たりをおぼえていたのだ。巨星は映画演劇におもちゃにされたが、以前見事に聖人高村光太郎にびくとも影響をあたえていないし、そのために彼を軽く見るという境にまで行きつかなかった。>
<つねに貴重な愛情を原稿のうえで売るような人間は、ついに聖人には達せられないが、髙村の生きたあとの苦楚や悲しみを見ると、聖人ということばがはじめてその顔をちらりと見せたことに気づく、このばかばかしいことばが何と近い仲間の間に存在していたことだろう。>
「ばかばかしいことば」とは、室生犀星一流の、世間一般への批判であり、また真率に高村光太郎を評価することへの諧謔(かいぎゃく)と韜晦(とうかい)のようなものと、理解できます。その犀星をして、「聖人」と言わしめた光太郎の「生きたあと」というものが、如実にうかがわれる名文と言えましょう。高村光太郎、室生犀星という詩人のこころが、大変親しく感じられたこの章の朗読でありました。
そろそろ受験最繁忙期にさしかかりますので、「詩の朗読」を毎週の定期的な発表でなく、不定期の形にさせていただきたいと思います。当然につづき物となる『我が愛する詩人の伝記』も、しばらくお休みとさせていただきます。しかしながら、不定期・単発で、詩の朗読そのものはつづけてまいりますので、ひきつづきよろしくお願い申し上げます。
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