ますや茶舗

ガラス張りの外から店を見て緑茶が目に入り、この日少し店に入ってみました。
塗りのお椀セットなどが、外のワゴンラックに飾ってあるのが見えたので、そちらを手に取って眺めてみました。蓋つきの黒いお椀は、漆器のようでした。いくつか見ているとメオトのお椀もありました。黒いお椀は何種類かの大きさがあり、でも今は使わないなと思いまた来たときに見ようと思いました。家にある香川のお椀に似ていますが、しっかり黒くて軽く、これらが本物の漆器だとしたら安いなと思いました。
以前から南新町と道路に面した開けた場所から目に入るこの店舗を少し気にしていました。ぷんと良い茶の香りがします。香りがしみこんだ昔ながらの日本の店はよいです。
黒いお椀を見た後、緑茶が並べて置いてあるガラス棚を眺めながら店に入りました。緑茶や白茶などは、様々な商品名が書かれたパック入りのお茶で、見た限りで良い感じのお茶っ葉が揃えてあるなあと思いました。缶入り抹茶もあり、なかなかよいお値段のものでしたので戸棚の外から眺めるだけ。京都のかりがね煎茶があったらいいなと、購入の意思はありませんがちょっと知っているメーカーを楽しみで探してみましたが見当たりませんでした。
店の中ごろの棚の真上にお箸が立ててあったので、母へプレゼントはどうかなと思いしっかり手に取って見てみました。よく見ると良いお箸が並んでいるなあと、ちょっと貝殻がついたようなものや、漆の色がついたもの、黒や茶などの木のお箸がありましたが、男性用の長さだったり古い感じのお箸で、自分としてはこれらで十分良いのですが、綺麗で新しいものが好きな母にはどうかなと迷って置きました。竹などに色を塗ったお箸は気軽に楽しい色柄で、楽しそうなお箸はいくつもたくさんありました。可愛い花柄などのお箸もありましたが、ちょっと丈が短い気がしたり、赤々しいおべべみたいな色で母には子供っぽいかなと迷って置きました。それらのお箸は手ごろな価格でしたので、何本も時間をかけて発掘気分で探しがら迷い迷い、お店の奥で話していたおばあさんや女性に見られているのを気にしながら、仕切りの箱から外へ出して見ていましたが、結局母の好みに合いそうなお箸がわからなくてそこまでとしました。すぐ近い場所に、良いお箸が並んであり高級感が漂うものがありましたが、家は忙しいですし贅沢品はあるのでそちらは構いませんでした。
抹茶を立てる道具のことをお尋ねしました。くるくると手で回す格好を見せると、お店のおじいさんがよく知った風に「茶筅」と仰って、竹の道具を見せていただきました。四角い形と言い表すのがよいかっちりとした上等な道具が、これまた四角い透明箱入りで構えています。祖母が家の戸棚に古い順にいくつか置いている穂先が丸くてやわらかい気軽な茶筅とまた、違う形をしており高級茶道具という感覚を抱きました。さすが専門店といった感覚です。数千円、いくつかの茶筅が箱に入って並べてありそこに書かれてある数字を眺めたあと「あるのは、これだけですか」とお聞きしたところ、これだけと言われました。
お店は夕方なのに明るいです。暗くなってきたら店じまいの準備をするようでした。おじいさんが一人、南の扉からやって来て、親しそうに店のおじいさんと世間話のようなことをはじめました。最初、この店に入ったばかりのときは仕事で来ている背広の若い男性がおりほそ長い通路でお尻を向けてサッと外へ出て行くところだったと思います。良い雰囲気のお店です。
緑茶の棚と並んで、墨を書いたような飾りが壁などに飾ってありわびさびの雅な雰囲気でした。店の中は、１階部分を見ましたが、西東向きにほそ長い構造をしているのがわかりました。店の西奥は３人ほどが座って固まって話しており、２階があるのかどうかはわからずじまいでした。
疑問がすっきり解決して店の外へ出ました。また、入口のすぐ外にラックがあり、茶道具が並んでいるのを眺めました。綺麗な春の色の急須がかわいらしく、湯呑みもいくつか並んでいたと思います。お茶のパックがいくつか並んで、良い緑色だと思いました。