稲迺家

板橋の閑静な路地に佇む「稲迺家（いねのや）」。
店名から感じる穀物への敬意そのままに、
小麦と米への真摯な想いが伝わってきます。
暖簾をくぐると、こだわりの小麦を挽く香りと、
炊きたての米の甘い香りが
心地よく漂ってきます。
店内では、大将が丁寧に麺を打つ姿が。
まるで稲穂を愛でるように、
一本一本の麺に想いを込めています。
まずは「かけうどん」を注文。
澄んだ出汁に映える麺は、
まるで穂先のように美しい艶を放ちます。
麺は、北海道産の厳選小麦を使用。
コシがありながらも優しい口当たりで、
小麦本来の甘みが感じられます。
出汁は、昆布と鰹節を絶妙にブレンド。
米どころで育まれた味覚で選び抜いた
素材の旨みが溶け込んでいます。
天ぷらは、季節の野菜を中心に。
サクサクの衣には、自家製の米粉を
ブレンドしているそうです。
「肉うどん」も評判の一品。
出汁で炊いた肉は柔らかく、
コシのある麺との調和が絶妙です。
〆には、かやくご飯もおすすめ。
地元の契約農家から仕入れた米を
土鍋で丁寧に炊き上げています。
大将は寡黙ですが、
麺や米について聞くと、
豊かな知識と情熱を語ってくれます。
常連さんとの会話も、
その日の米の炊き加減や麺の出来栄えなど、
穀物への愛情が溢れています。
店内には、昔ながらの農具や
稲穂のディスプレイが飾られ、
日本の食文化への敬意が感じられます。
お値段も良心的で、
この品質の麺と米を
気軽に楽しめるのが嬉しい。
ごちそうさまでした！
また明日も、麦と米の饗宴を楽しみに来ます。