一膳めしや

東武練馬駅周辺をぶらりと歩いていると、少し路地を入ったところに「一膳めしや」の看板が目に留まりました。店内を覗くと、初老の男性がカウンターで一人でいました。メニューは約50品と豊富で、ときわ食堂を思い起こさせるようなラインナップです。

店内に入ると、ときわ食堂にも劣らない破格のメニューが並んでいます。まるで、店主が「儲けよりも自分の食い扶持があればいい」という心意気でメニューを作ったかのようです。私は緑茶割りとともに、新玉ねぎとツナのサラダ、煮込み、高菜油炒め、筍と鳥の煮物を注文しました。特に筍は今が旬で、鳥も惜しみなく使われており、まさにお母さんの味です。店主は男性ですが、その手料理には温かみがあります。

この店は、酒も濃厚で、日曜日の日暮れ前には常連客が「笑点」を見ながら静かにつまみと酒を楽しんでいました。店内には哀愁が漂いつつも、それが日常の一部となっているような空気感があります。

「この店と結婚したい」とさえ思わせる、そんな特別な魅力を持つ店です。こんな素敵な店が、こんな所にあるなんて。変わらず続いてほしい、でも混んでほしくないという複雑な感情を抱かせます。

哀愁漂う酒場が好きな方には、ぜひ訪れてほしい一軒です。