うちの息子、小さい頃はなかなかの“瞬間移動マスター”でした。ADHDが強くて、ほんの一瞬、手を目を離しただけで──もう、いない。
え?いない?うそ?どこ???
ってなるのが日常茶飯事。あまりにもしょっちゅうだったので、佐伯警察署では、たぶん我が家は”レジェンド級”の常連だったんじゃないかと思います(あの時は本当にお世話になりました…)。
よくニュースやSNSで
「目を離すなんて信じられない」とか
「親の管理不足では?」みたいな心無い声を見かけますが、ADHDの子の消え方って、マジで一瞬。しかも直線的にいなくなるんじゃないんです。ヘビみたいに右に左に、ジグザグに、時に逆走して、予測不能な動きで消えます。あれはもう、忍者。
で、ある朝。まだオムツを装着していた頃の話です。
保育園に行こうと玄関を開けた、その0.5秒後。
はい、いない。
朝から大捜索。焦って走り回り、泣きそうになりながら探して1~2時間。
……と、そこに笑顔で自分くらい大きなカゴをした抱えて帰還するオムツ男子。
なんと、自宅から1.5キロ離れた、車でしか行ったことないスーパーまで歩いて行き(地図アプリ内蔵してた?)、おやつをしっかり買い物カゴに入れ、満足げに戻ってきたのです。
そして一言、
「かあちゃん、ピッ!してないよ!」
……えぇ、もうね。怒るやら笑うやら、感情が大渋滞。
もちろん“ピッ”(レジ通過)しないと自分の物にならないことは理解している。
でも、「カゴごと持ち出しちゃダメ」はまだ教えてなかった……惜しい!
この日、私は安堵と笑いとちょっとの誇りを胸に、彼と一緒にスーパーに戻り、「ピッ!」してからおやつを無事ゲットしました。
あの頃に今の“子ども用リード”があれば、迷わず使ってたでしょうね!
