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季節の移ろいを愛でる至福の時間

5.00

投稿日: 2024/11/02

中野の閑静な住宅街に佇む「津がわ」。
古い民家を改装した趣のある佇まいに、
期待が高まります。
玄関先の石畳を進むと、
風情ある坪庭が目に飛び込んできて、
もう料理を頂く前から心が和みます。
カウンター席から眺める板場では、
大将の丁寧な手仕事が繰り広げられ、
その所作に見とれてしまいます。
先付けは、蕗の薹の白和え。
山の香りと豆腐のやさしい味わいが、
春の訪れを静かに告げます。
八寸の取り合わせは、まるで美術品のよう。
若竹煮、桜海老の玉子焼き、蛍いかの沖漬け。
一つ一つに季節の表情が宿ります。
お造りは、真鯛と平政の二種盛り。
昆布締めの加減が絶妙で、
魚本来の甘みが引き立ちます。
煮物椀は、筍と若芽。
澄んだ出汁の香りが立ち、
春の潮風を感じるような清々しさ。
焼物は、のどぐろの西京焼き。
じっくりと漬け込まれた味噌の香りと、
ほどける身の甘みが調和しています。
酢の物は、水蛸と若布。
酢の加減が絶妙で、
口の中を爽やかに洗い流してくれます。
お食事は、蛤の炊き込みご飯。
土鍋から立ち上る潮の香りに、
春の海を想う贅沢なひととき。
器も趣向を凝らしており、
古伊万里や信楽、萩など、
料理との取り合わせも見事です。
大将との静かな会話も心地よく、
旬の食材の話や器の由来に、
time が経つのを忘れてしまいます。
また新しい季節の訪れと共に、
この特別な空間を訪れたいと思います。
心からのごちそうさまでした。