もしもこの店がレストランなら、そして、僕がミシュランの調査員なら、間違いなく★3つをつけます。高速代2300円が惜しいわけがない。話は今から半世紀程さかのぼります。当時僕は中一で、この店の御長男と同級生でした。それで、当然、彼はこの店を継ぐのだろうと思っていました。僕は転校で中津を去り、岐阜へ移動し、彼とはそれ以来会ってはいません。
今年の春、恵那の親戚の家で法事があり、そのとき、散髪しようと、半世紀前の事を思い出し、この店を思い出して、訪問したわけです。紅顔の少年が、どんなオッサンになっているか、それを確認するのが楽しみでもありました。「こんにちは。この店のオーナーにやってもらいたいのですが・・」「私のお父さんはいません。」「エツ」「26歳のときに亡くなりました。「・・・」散髪が終わって、椅子から背中をそっと押してもらうときに、僕は
後2本の優しい手を感じました。そして心の中で「長瀬ありがとう」と呟きました。そんなわけで、しばらく、この店に通いたいと思っています。