私が生まれて初めて「痛風」というものを発症したとき、お世話になりました。
あの日、大分県の鉄輪温泉に宿をとり、私の両親と妻子の合計7名で大分の名所・旧跡を観光し、夜は焼肉とビールで大いに盛り上がった翌朝のことでした。
寝返りを打ったとき、右足の甲、足首の付近に鈍痛が走り、その痛みで目を覚ましました。
その痛みは、まるで足をくじいた時のような感覚に近く、掛け布団の重みで足首に負荷がかかると鈍い痛みを感じるというものでしたので、横になったまま前日のことを思い起こしてみました。
アフリカンサファリで猛獣バスから降りる時、足の不自由な母を抱きかかえてステップから飛び降りたときにくじいたかな、などと呑気な気分で記憶の糸をたぐってみますが、それ以外に足をくじくような情景は浮かびません。
その日は、子供たちがかねてより楽しみにしていたハーモニーランドに行く予定でしたので、朝食を終えると早速出かけたのですが、時間が経つにつれて足首の痛みは激しさを増すばかり。
広大な敷地の中を激痛の走る足を引きずりながら一日中歩き続け、夕方宿に戻ったときには、もう右足だけで片足立ちすることができない状態でした。
風呂に入るにも脱衣所の床に座って下着を脱ぎ、浴槽には前方回転受身の要領で飛び込むといった感じで、もう右足の足首はパンパンに腫れて、これは疲労骨折に違いないと思い込んでいました。
旅行から戻った翌日、ここ飯塚病院の整形外科で診察を受けました。
先生に症状を説明するとき、「どうも疲労骨折のようです」と、自分に思い当たることを話したのですが、怪訝そうな表情の先生はレントゲン撮影の後、なぜか血液検査を行い、その後の問診で、「お酒や脂こいものは好きですか?」と尋ねられたのです。
私が、はい大好きですよと笑顔で答えると、「痛くなる前日は何を食べましたか?」と尋ねますので、焼肉にビールですと正直に答えると、うんうんと納得したような表情になりました。
そこで血液検査の結果が出たので、先生はその検査表に目を通し、私に「痛風ですね」と診察結果を告げられました。
痛風…? 聞いたことがないわけではありませんでしたが、自分がそういう病気になるとは思いもしませんでしたので、何だか不思議な気がして、どうすれば治るのか聞いてみますと、先生は「一生治りませんよ」と笑顔で答えてくれました。
痛風とは、血液中の尿酸値が増えすぎて結晶化したものが関節部分に溜まり、炎症を起こすもので、尿酸値を下げるための薬を飲んだり水分を多く摂るなど、治療方法はあるそうなのですが、完治するということはないのだそうです。
結構ショッキングなお告げでしたが、ユリノームというお薬を戴いて尿酸値は平常値に下げることは出来ました。
診断してくれた先生も痛風持ちなのだそうで、昔のように食べ物の制限は厳格ではなくなったし、薬も飲み続ける必要はないが、水を一日2リットル以上飲み、適度な運動が大事なのだと教えてくれました。
油断していたら忘れた頃に発作が起きるとのことで、仰るとおり、これまで2度軽い症状が出ています。
今でもときどき、飯塚病院に足を運び、血液検査を受けていますが、数値が高い日とそうでない日がありました。
先生曰く、ストレスも尿酸値を上げる要因なのだそうで、痛風の原因には食生活もあるが、責任感が強いなど性格的なことや、管理職でストレスを溜めやすい男性に多いのだとか。
う〜ん、責任感が強いかあ…。なんだか褒められたような気分になり、食生活は改められても、この強い責任感に溢れた性格は変えられないからなあと、ちょっと困っています。
飯塚病院、大きな総合病院ですが、スタッフはみなさん親身になって相談に応じてくれますし、ユーモア溢れるお医者さんとの会話も楽しく、心のケアにはもってこいだと思います。